2026年度 理事長所信

理事長所信

一般社団法人 寝屋川青年会議所
第51代理事長 津野 広志

はじめに…

1976年、「明るい豊かなまちづくりを目指し、青年としての英知と勇気をもって市民運動の先頭に立ち、まちづくりをする」との設立趣意書のもと、全国で602番目の青年会議所として寝屋川青年会議所は創立されました。本年、創立51年目を迎えるにあたり、半世紀にわたり脈々と継承されてきた先輩諸氏の高い志と不断の努力に、改めて深い敬意と感謝を表するものであります。青年会議所は、地域社会の課題に真摯に向き合い、果敢なる行動をもって解決に挑み、次代を担うリーダーを輩出することを使命とする団体です。この不変の理念をもとに、昨年策定した中長期ビジョンである「Omusubi運動」を実行していく年でもあります。これまでの歩みを礎とし、我々は、この団体が次の60周年、さらには100周年へと続いていくために、未来を見据えながら新たな挑戦を積み重ねてまいります。

共感を生む運動の推進
スローガン「Relate ~共感を生む新たな価値の創出~」

寝屋川青年会議所は、これまでも地域の課題を的確に捉え、数多くの事業を通じて社会に影響を与えてまいりました。その根底にあるものは「人の心を動かす力」です。人の感情が動くとき、行動が生まれ、社会は変革されます。
コロナ禍を経て、生活スタイルの変化や社会の仕組み自体に大きな影響を与え、それにより価値観は一層多様化し、「本当に必要であるか」という真に本質を伴う取り組みでなければ共感を得ることは困難となりました。我々の運動には、歴史や文化などに加え、パートナー共創、さらには実施過程、いわゆるストーリー性を大事にし、関わる全ての人の共感を呼び覚ます運動を構築する必要があります。そこに独創性と大胆さを兼ね備えた挑戦をもって、人々の心を揺さぶる感動的な運動を展開してこそ、我々青年にしかできない価値であり、さらには時代を創るという強い意識をもち、成果を出し続けることにより、地域に必要とされる団体へと成長してまいります。

「Omusubi」運動の推進

私たちは、50周年に「Omusubi運動」の推進を通じて地域・各種関係諸団体・メンバー間それぞれの団結強化を掲げた長期ビジョンを立てました。さらに、中期ビジョンとして、組織・地域・青少年育成に向けた運動方針を掲げております。今年度はこの計画のスタートでもある最初の1年となる重要な年です。地域のために既存の継続事業に加え、新たな事業を発信し続け、未来を見据えた必要とされる事業の創出も責務であり、さらには、持続可能な組織として未来に向かって発展し続けなければなりません。私たちの運動に、共感を生む人々を一人でも多く増やし、地域社会に発信をしてまいります。

会員拡大スローガン「~Over the 100 forever~」

会員拡大は究極のまちづくりであり、青年会議所における最大の継続事業です。(一社)寝屋川青年会議所では、創立50周年を機に、中長期拡大スローガンとして「~Over the 100 forever~」を掲げ、5ヶ年計画のもと運動を推進していきます。私たちは常に会員数100名以上の在籍を目標としつつ、単なる会員数の増加にとどまらず、定着を重視した会員拡大を実施してまいります。多くの会員が積極的に活動し、地域においてリーダーとして貢献することで、青年会議所の存在価値は一層高まり、地域への影響力も増大します。
本年度においては、会員拡大の数値目標を60名と設定します。この60名という数字は過去を振り返ってみても容易に達成できる数字ではありません。60名という大きな目標を達成するためには、担当委員会のみが拡大の責務を担うのではなく、会全体が一丸となって取り組むことが不可欠です。さらには、従来の会員拡大手法に加えて、他団体との連携やカテゴリーの拡大を視野に入れ、多くの対象者に青年会議所の魅力を伝える機会を創出してまいります。
しかし、会員拡大の本質は単なる人数の増加にとどまるものではなく、定着にも目を向ける必要があります。そのため、例会事業においては新入会員6割以上の参加を目指すとともに、理念への共感を深め、アカデミーの実施や充実したフォロー体制を整備してまいります。
全会員が共に責任を持ち、活気にあふれる(一社)寝屋川青年会議所に向けて、拡大運動を行ってまいります。

共感を生む組織へ

組織の持続的な発展に欠かせないものは理念の「共感」であると考えます。理念や運動方針に共感がなければ、組織はまとまりを欠き、それぞれが異なる方向へと進んでしまいます。
現在、入会3年未満の会員が7割を占める現状にあります。だからこそ、青年会議所の理念や目的を正しく理解し、その意義に共感して行動できる人財を育成することが急務です。
一人ひとりが共感力を持ち、その魅力を新たな仲間へと伝え、さらに地域へと発信できる力を養うことで、組織としての価値は高まり、やがて確固たるブランドの確立へとつなげてまいります。

国際の機会を活かした地域経済の活性化

国際青年会議所(Junior Chamber International)の一員として、我々には世界130を超える国と地域との交流の機会が与えられています。これまでの交流は表層的な域を脱しきれていない側面もありましたが、国際感覚を養い多様な考えを身に付けるためにも、今後は文化・価値観、抱える課題も含めて理解し合う本質的な交流を深化させることが必要です。
そのためには、会員に対して国際意識の醸成を行うとともに、国際青年会議所に所属するLOMとの友好的な関係を築く機会を創出し、未来へとつながる交流になる礎を築いていきます。近年、技術の発展と経済のつながり強化によるグローバル化において、多様な感性を磨き国際的視野を持つことは、会員の成長の機会になることに加え、地域社会の発展につながると確信しております。

価値ある学びにつながる機会の創出

社会変化の速度が加速する現代において、青年会議所メンバー自らが先見性を持ち、率先して時代を切り拓いていく責務があると考えます。そのためには、質の高い例会を実施し、時代を先読みする力を養うとともに、広範な知見を蓄積することが求められます。
また、寝屋川青年会議所はこれまでも広域的な出向活動を通じ、多角的な視点を獲得しながら地域課題の解決に挑んでまいりました。本年度も多くの会員が日本青年会議所、近畿地区協議会、大阪ブロック協議会へと出向する機会を得ており、それらは組織にとって成長と発展をもたらす貴重な財産となっております。
そして本年度は、これまでにない挑戦の一環として、寝屋川市において最大限にLOM益、地域益、そして運動益をもたらす新たな取り組みを進めてまいります。これは地域の存在感を一層高めるのみならず、次代を担う我々にとって比類なき学びと成長の契機となるものと確信しております。
未来を想像し行動すること、すなわち先を見据えた行動こそが青年会議所の存在意義です。こうした価値ある学びの機会を最大限に活かし、地域を変革する力をもったリーダーの育成へとつなげてまいります。

JCブランド確立に向けたブランディング

(一社)寝屋川青年会議所は、地域に根差す団体でありながら、その存在や活動について十分に知られていない現状があることも事実であります。しかし、我々は決して単なるボランティア団体ではなく、会員一人ひとりが限られた時間の中で真剣にまちの課題に向き合い、地域の未来を思い描きながら活動をしています。こうした活動は決して自己満足で終わるものではなく、多くの市民に知っていただき共感を得られることで、(一社)寝屋川青年会議所としてのブランドを確立していくものであると考えます。 そのために、拡大対象者や会員に向けた組織に共感を生むインナーブランディングと、SNSにとどまらず様々な発信手段を駆使し、市民から期待される存在へと成長するアウターブランディングを両輪として、共感を生む組織づくりに挑戦してまいります。

地域に必要な新たな価値の創出

(一社)寝屋川青年会議所はこれまで、わんぱく相撲やエンジョイマラソン、寝屋川まつり、エンジョイフェスタといった、地域に根差す事業を継続的に展開し、市民に健全な育成の機会と交流の場を提供してまいりました。これらはまちに活気と笑顔をもたらし、同時に我々にとってもかけがえのない学びの場となっています。しかし、ただ継続するだけではなく、時代の変化に応じて変革することや、先見的な視点を持ち、これから先に必要な事業を生み出すことが、今我々に求められている使命でもあります。その一環として誕生した寝屋川の新たな名産品「ねやから」は、地域の魅力を発信し、まちの誇りを形づくる大切な成果となりました。3年目を迎える「ねやから」はさらに地域における協働を行い、魅力を継続的に発信してまいります。
また、地域における防災・減災に関わることについても、我々が率先して行動していく必要があります。南海トラフ巨大地震は、これから30年内に発生する確率が60%~90%と言われており、寝屋川市においても大きな被害が想定されます。有事の際には、我々が率先して行動できるように防災意識の醸成と、各諸団体とのネットワーク整備や連携の強化を平時から進めてまいります。
半世紀を超える歩みの中で育まれた地域との絆を大切にすると同時に、地域に必要な新たな価値を生み出し、未来を担う子どもたちが、このまちを誇りに思えるよう、その想いを支える団体であり続けます。

結びに…

私は高知県で生まれ育ち、寝屋川市には縁も所縁もなく、ただ仕事のために移り住んできた身でありました。当初は地域に対する思い入れすら持たず、自分本位な人間であったと自覚しております。しかし、寝屋川青年会議所での活動を通じて「私にも地域のためにできることがあるのではないか」と思えるようになりました。入会以来、多くの発展と成長の機会をいただき、青年会議所の活動こそが、私の地域への想いを育み、数多くの人々とのご縁をつないでくれました。現在の会員の中にも、かつての私と同じように地域への関心や活動意欲が十分に高くない方もいるかもしれません。しかし、青年会議所はその一人ひとりに「気づき」と「成長」を与え、地域への想いを芽生えさせる力を持っていると確信しております。

「時代に流されず、未来へと想いを繋ぐJaycee」でありたいと強く思う。
いま行動すれば、未来は必ず変わる。
自身の経験からも、青年会議所の活動に携わることが人生をより豊かにしてくれることを知っています。地域に共感と感動のストーリーを紡ぎ、愛あふれる地域社会を築いてまいりましょう。